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楓と宮永2(※)
この時間の電車は好かない。
人が多くて座れないし、学生やらサラリーマンやら、男臭いなか立ちっぱなしとか...なんの罰だ。
満員電車の息苦しい空気の中、涼しい顔して立つ楓先輩の横顔を見つめた。
少しつり目の二重、通った鼻筋とシャープな顎のライン。
カッコいいというより美人...だと思う。
学校では恐れられているキツい眼差しは、笑うとフニャッと歪んで柔らかくなるし。
人を寄せ付けない物言いをする口も、触れると驚くほど柔らかい。
細い身体のクセに腕力は強くて。
この人が喧嘩で負けたところを俺は見たことがない。
....まぁ、それほど長いこと一緒にいる訳じゃないけど。
「...っ、」
「っと、、大丈夫?」
ガタンッ!と電車が揺れ、バランスを崩した乗客に押され先輩の身体も揺らいだ。
それを咄嗟に肩を抱いて支えれば、フイッとそっぽを向かれた。
「楓先輩?」
「うるせぇ、見んな。さっきからジロジロと...」
サラリとした黒髪の隙間から見える耳が僅かに赤い。
その耳に光るシルバーのピアスが、やけに色っぽく見えた。
...くっそ可愛いだろ。
「うわ..!何だよ、急に。」
「んー?」
抱いていた肩をグイッと引き寄せ、身体の位置を変える。
扉と俺の身体で楓先輩を挟み込むと、背後から腕を回して抱き締めた。
睨み付けてくるその瞳の鋭さに苦笑しながら、柔らかい髪に顔を埋める。
俺より華奢な身体だけど確かに男のもので、女みたいな柔らかさなんてないけれど。
だけど腕にしっくりと馴染む。
「いい匂い...」
「っ、ァ...!」
スンッと首筋を嗅げば、咄嗟に口を手で塞ぎ声を押し殺す。
弓道場で煽った身体は熱を取り戻しやすいのだろう。
たったこれだけのことで艶のある声を紡ぐのに、思わず口の端が上がった。
「しっかり口押さえて下さいね...周りにバレたくないでしょ?」
意地悪く囁きながら首筋を舐める。
同時に左手を下半身に持っていけば、手首をグッと掴まれた。
「やめ、こんなところで何しやがる...!」
「何って、、痴漢?」
「!?」
小声で制止してくるのにニッと笑って見せ、捕まれていた手を逆に掴み直した。
そうして今度は右手をソコに持っていけば、また手首を掴まれた。
「ミヤ、ふざけんな...!」
「...口押さえてないと、声漏れるよ?先輩」
「ん、アッ....」
両手での攻防はそのままに、背後から耳を食んだ。
吐息を吹き掛け舌で擽る。
ここはこの人の弱いところ。
いや...『弱くなった』が正しいか。
セックスの度にここを攻めてきた。
何度も、何度も。
「......っ、て、め....ンアッ、」
「ほら、声...」
口を開けば甘い声が上がる。
クスクス笑いながら小さく囁けば、捕まれていた右手が自由になった。
「ん。お利口。...大丈夫、誰も気付いてないから。」
口許を押さえつつ睨んでくる瞳が綺麗で。
キスしたいな....
そんな欲求に駆られながら、右手をズボンのボタンにかけた。
「....!」
大きく目を開き、僅かに首を振る姿に劣情を刺激される。
その欲に逆らうことなくボタンを外し、出来た隙間から手を差し込んだ。
「っ....ン、」
「なんだ、楓先輩も興奮してるじゃん...」
ソコは僅かに反応を示していて、熱を持ち始めた先輩自身を下着の上からゆっくりと撫で上げた。
そうしてキュッと軽く握ればビクッと身体が震える。
その様子に無意識に舌舐めずりしてしまう。
「ほんと、可愛い...」
やわやわと何度も握り、手を上下に擦った。
その動きに合わせて形を変えていく先輩自身に、腹の奥がムズムズとする。
「...、フッ...ン...!」
「...濡れてる」
やがて下着の中に右手を忍ばせ直に触れれば、ヌルリとした感触。
完全に形を変え先走りを溢し始めているのが可愛くて...揶揄するように囁けば先輩の瞳が僅かに潤んだ。
「...!くっそ、その顔...可愛すぎだろ!」
「ンン.....っ、、ん!」
首筋に顔を埋め、白い項にキスをしながら強めに先輩自身を扱く。
先走りを塗り広げ、親指で先端を刺激すればまた新たな滑りが増える。
電車の揺れる音や乗客の声。
下着の中で広がるグチュグチュとした卑猥な音は、車内の雑音に消されて外には聞こえない。
それを良いことに、どんどんと高みに昇っていく先輩自身を何度も擦っていった。
「はっ、ミヤ...もう、や、めろ...っ」
途切れ途切れに訴えてくる声が耳に届く。
その艶を含んだ声に、下半身がズクッと疼いた。
「...たまんないんですけど、その声。ほら、俺もこんな...」
「う、そ....っ!」
抱き締めていた身体に、グッと腰を押し付ける。
引き締まった尻に服越しに俺自身を擦れば、細い身体がビクビクと震えた。
「ほんと。ね、楓先輩...」
クスッと笑いながら耳にキスを送る。
ピアスを唇で挟み軽く引っ張れば「ん、」と声を漏らす。
そんな反応が愛しくてたまらない。
「次で降りるから...」
「あ...」
とてもじゃないけど、最寄り駅までなんて俺が我慢できない。
囁くように告げれば、先輩が小さく頷くのが分かったー。
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