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楓と宮永3(※)
駅に到着し扉が開ききるのを待つことなく、手首を掴んで電車から降りる。
最寄駅ではないが、利用したことのある駅だ。
向かう場所は決まっていて、まっすぐにそこへ歩を進める。
「ミヤ…?」
どこか不安気に聞こえる楓先輩の声に、クッと喉が鳴った。
欲しくて堪らない。
電車の中で見せた恥ずかしがる姿も、快感に濡れた瞳も、俺を呼ぶ声も、全てが俺を煽ってきて理性を奪うには十分で。
「ちょ、お前まさか…!」
迷うことなく入ったその場所に、先輩が驚いた声を出す。
「うん?そのまさかですけど、何か?」
躊躇いなく入ったトイレの入り口に先輩を待たせ『清掃中』の看板を通路に置く。
これで暫くは誰も入って来ないはずだ。
「ふざけんな、俺は帰る!こんなところで変なことできるわけ…ンッ!」
出て行こうとした体を引き寄せ唇を奪う。
逃がすつもりなんて毛頭ない。
例え後で殴られようとも、今すぐこの人をめちゃくちゃにしたい。
そんな思いを込めて初っ端から深いキスを仕掛ける。
舌を無理矢理絡め、吸い上げる。
歯列をなぞり上顎を擽れば「ンクッ…!」と甘い音が楓先輩の喉から聞こえてきた。
「...帰る?ほんとに?」
「っ、、、」
濡れた唇を舐めながら囁く。
見つめた瞳が僅かに潤んでいて、ズクンと腰に重い刺激が走った。
「楓先輩...」
昂った自身を同じように熱持つ先輩自身にグリ...と擦り付けると「あ...」と先輩の口から小さな吐息が洩れた。
その甘い吐息を飲み込むようにもう一度口付ければ、首に腕が回される。
「んっ、は...絶対殴る...」
キスの合間、悔しそうに呟かれた言葉が可愛くて。
腰を抱いていた腕に力を込めたー。
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