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溺愛×未来 三

「重い……」 「ちが、息してない。大変だ、朝登くんが息してない!」 涼さんが蹲る俺の頭をよしよししてくれたが、小さくため息を落とした。 「あのね。君は俺を甘やかすけど、俺だって自立したいんだよ。衣食住全部君にやってもらって、年上としてのプライドが保てないでしょう」 「じゃあ、一緒の寝室はいやってことですか?」 「まだ、いいかなあ。でも遺品整理は忙しくてずっとできていないって言ってたから手伝っていいなら手伝うけど……ご両親との思い出の品でしょ?」 心配げに言われる。けど、今更、家族として触れ合っていなかった俺は、両親の遺品を見ても何も思うことはない。 傷つくこともないし、悲しくなることもない。 ただずっとそこにあると、両親が供養できない気がするだけだ。 「俺は貴方と違って親との思い出がないので大丈夫です。あんま親のご飯の記憶もないし」 「そんな、朝登くん……それって」 「てんちょー! てんちょー!」 厨房で座り込んで手を握って話していたはずなのに、涼さんが一瞬で遠くに飛んで行って、さも今、二階から降りてきた様子で声のする方へ走り出した。 「美穂ちゃんたち。あ、今日は土曜か」 「そうだよん。ついでにイケメンいたから連れてきた」 「厚真兄ちゃん! ……と」 急に涼さんの声のトーンが落ちたので、俺も厨房から入口を覗く。 すると多田が、美形のおじさんの腕を掴んで不機嫌そうに立っていた。 その周りには、若い男女が仁王立ちで立っている。 これは?

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