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溺愛×未来 六

オロオロしている涼さんを助けてあげたいが、家族の話だ。どうやって俺は関わればいいのかタイミングも分からない。 珈琲を持っていきながら、テーブルを見ると、涼さんの父親が銀行の通帳を出した。 「お前の、仕送分をかえしときたくて」 「えっでも大学受験したいって」 「それもなんとかする。全部は無理だが、少しでも返しておく。来月からも要らない」 「……」 涼さんは手に取らず、じっと通帳を眺めていた。 「どうしたの、兄貴」 「もらっちゃいなよ。お兄ちゃんにお金せびって、最悪じゃん」 「……うーん。俺は貸してたわけじゃない。弟たちが高校に行けないのはかわいそうだなっておもってあげたつもりのお金だったから。その、来年も生まれるなら入用でしょ。俺からの出産祝いに――」 「涼さん」 「涼」 「兄貴」 「お兄ちゃん」 四人の睨みに、涼さんがすごすごと退散する。 「えっと……本当に家は大丈夫なの?」 どこにも置けない視線の先を、同じくおどおどしている父親の方へ向けた。 父親は今にも消えてしまいそうな、おどおどした中、何度も頷く。 「もう少し、長距離の仕事を増やしていく。家になかなか帰れなくなるけど、大丈夫だ」

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