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溺愛×未来 八

「――っ」 抱きしめたい。最近、この人甘え上手になっていないか。 今までの無意識の過剰なスキンシップは、恥ずかしいのか少なくなって寂しかった。 けど、懐いた相手にはすごく尻尾を振って愛情を表現してくれてる。 俺は好き好きアピールするだけで、本当はまだ少し触れるのに怖い。 欲望を中に放って、怖がられそうで力加減が分からない。 そんな俺に積極的に触れてきてくれる彼が、やはり俺は好きだ。 「……専門学校か」 前に頼まれて涼さんに渡した専門学校のパンフレット。 とくに反応もなかったからどうするのか気になっていたんだ。 彼からは、どうしようもできないからと最初から選択しようとしていない様子だった。 ただ――あそこの専門学校は俺の通っていた調理科のある高校の系列だったはず。 俺は両親と上手くいかなくて、継ぐとは言えず大学に進学したが、あそこなら悪くないし――。 一つ気になったので、先月アレルギー用の弁当を作った両親の知り合いの連絡先を探す。 間違いない。何もできないと思っていたけれど、俺にも涼さんに出来ることがあった。 「おい、お前」 「……なんすか」 多田がまだ不服そうな顔で俺に絡んでくる。 この人、本当に涼さんが好きだよな。 「あいつ、なんか変わったな」 「あいつ?」 「涼だよ。お前が迎えに行ってから、――泣かせたらどうしようか苛々していたんだが、俺はもう今日でお役目ごめんでいいのか」

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