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溺愛×未来 十

他人と話すのは苦手だ。涼さんはそんな俺の表情に気づいてくれる。 でも涼さんの家族は違うわけで、どう接すればいいか迷う。 怖がらせないように。 かつ、何を考えているか分からないと不穏がられたくない。 一瞬、面倒だとか億劫だとか思ってしまったが、目の前にいるのは涼さんの家族だ。 「涼さんは、素敵な人だから。だから涼さんが君たちを守りたいなら、俺も力になる。いつでもここに来ていいよ」 嘘ではない。気遣いはできないかもしれないけど、これは嘘ではない。 ただ、会話は上手くできるか分からないけど。 「うわあ……超格好いい。やばい。ときめいたわ、私」 「こんな格好いい奴が恋人なら仕方ねえな」 「ああ、ってこ!?」 「大丈夫です。兄貴が嘘つけるような顔してねえから」 「すぐに分かったよね。一緒に住んでる時点で」 「多田さんは気づいてなかったけど。あの人、頭固いからね。俺たちに言われて、驚いてたよね」 クスクス笑う二人に、俺はただただぽかんとすることしかできなかった。 気恥ずかしいが、拒絶されているわけではない。 柔軟な考え方は、涼さんと同じなのだろう。 ただ――最後までおどおどしてしっかりした様子がなかった父親の方が気がかりだったけれど。

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