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溺愛×未来 十三

ソファが軋む。 のに、楽しそうに笑っていた涼さんが不意に視線を逸らして複雑そうな顔で微笑む。 「この年で、美穂ちゃんや華ちゃんと並んで授業を受けるのはちょっと恥ずかしいな」 「あの専門学校は、夜間の――働いている人たち向けの方もあるんです。さっき電話で聞いたら、夜間も製菓コースもまだ定員割れしてるから面接だけで入れるって」 「え、電話、え?」 驚いてきょろきょろしだした涼さんの両手を掴んで起こす。 そして隣に正座して向かい合って座ると、涼さんの耳が赤いのに気づいた。 「俺の両親の知り合いなんです。この前パンフレット貰ってた専門学校。それでいて、俺の卒業した高校の系列です」 「そう、なんだ。わ、すごい縁だね」 「俺は、夜間ではなく普通の製菓コースに通ってここはディナーから働いてくれたら、金銭的にも問題ないんじゃないかなって思うんですけど、どうです?」 聞きながらも、我ながら超絶重い野郎だなって思う。 勝手に先回りして、勝手に行動して。 「先に言っとくけど、涼さんのためでもあるけど、俺のこの家で俺と一緒に住んでほしい、俺の打算も下心もめっちゃあるから。だから、決めて」 「まって、だって、そんな、えええ……急展開」 「――俺を選んでくれたら、今から超気持ちいことになっちゃうよ」 「エロ展開……」 ぷぷぷと笑う涼さんが、手をもじもじさせて視線もせわしく動かして落ち着かない様子だった。

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