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本音×ウソツキ 三
べーっと舌を出すと、さすがの朝登くんもむっとした顔になった。
「理不尽。年上のくせに、余裕ねえな」
「――はあ!?」
「アンタの身体に汚い部分なんてねえし。えっろい匂いを漂わせるアンタが悪い。俺は悪くない。もうしないけど!」
不貞腐れた朝登くんが、テーブルの上に置いてあったバナナを食べだした。
ついバナナも下ネタだと勘違いしてしまった。
「俺もごめん」
「怒った顔も可愛いから、別に」
と言いつつ眉間に皺が寄ってる。
「……」
一方的に怒ってしまったのは、恥ずかしかったから。
でも朝登くんだってあの時は興奮していたわけだし、理性より本能で行動してしまっただけで、怒られるのは理不尽すぎた。
「……朝登くん、ごめんね?」
「別に」
「怒ってない?」
隣に座って、突っ伏して顔を覗き込む。
バナナを頬張っていた朝登くんが、鋭い目で俺を見下ろしてくる。
「バナナ食べてくれたら、嬉しい」
「うん」
一口サイズに千切ってくれたので、口を開けて餌を待つ雛のように餌をもらった。
「喧嘩しても、朝ごはんだけは一緒に食べよう」
バナナを食べた俺に、ほめてくれるように頭を撫でてくれたので、俺も目をうっとり閉じて頷く。
うん。恥ずかしくても、心配させたくないので朝ごはんだけは一緒に食べよう。
「今日はランチの前に、予約が一名いるからさ。涼さんは食べたら、身支度完璧にしてね」
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