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本音×ウソツキ 十一

「うわ、び、びっくりした。なに?」 「何か俺に隠してます?」 嘘を吐くのが下手な涼さんは、さあっと顔色を変えた。 「隠してますね」 断言すると、観念して頷き、そのまま俯く。 「言ってください」 「……仕事終わってから言う」 頑なな、頑固な涼さんを知っている。知ってるけど、泣きそうな顔なのに俺に言えないってことは、なんなんだろう。 「今すぐがいい」 「……ごめん。簡単に言えないんだ」 俯いていた顔が横を向く。俺に握られている腕が痛いのか、そちらをちらりと見ていた。 「……」 納得できなかったけど、手を離して厨房に入る。 どうして恋人の俺に、隠し事をするんだろう。 それが悔しかった。

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