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再会/高崎朝登 二

「疎遠って……」 「でも他に頼れないし、実家に戻ったら不安与えちゃうし」  力なく笑う。無理しかしていないのが伝わってきた。急いで残っていたご飯と食材で炒飯とスープとサラダをつけて目の前に出した。ただただ、必死で物凄い形相をしていたと思う。  ただ俺は涼さんに一度とても助けられていたし、今ここで別れたらもう二度と会えない気がして嫌だった。何も恩を返していない上に、何も力になれないなんて嫌だ。 「涼さん。昔、俺がミスして涼さんの会社に迷惑かけたこと覚えてますか?」 「……あったかな。でも失敗って誰にでもあるじゃない」 少しの間。きっと覚えているのにはぐらかしてくれたんだ。 俺が刷って欲しい部数を一桁少なく発注してしまった時、徹夜で納期に間に合わせてくれた。データも確認してくれていて、ミスがあったときすぐに連絡もくれたりした。 ……このレストランがもう少し落ち着いたら、お礼に招待しようと考えていた。けれど、仕事以外で声をかけたこともなかったし、どう誘えばいいのか分からくて途方に暮れていたんだ。 今、涼さんの不安に付け込むのはいけないと分かっていたけれど、どうしてもこのチャンスを逃したくなかった。 出来た炒飯とスープを置きながら、口から心臓が出そうで眉をぎゅっと寄せて耐える。 「うちのレストランで良ければ働きませんか。二階でよければ部屋もあります」 「え……や、でも」  一瞬、縋るように期待した目を見逃さなかった。 「朝の仕込みに時間がかかるので、住み込みで手伝っていただけるなら、助かるんです」 「……えー」 嬉しそうだったけれど、すぐに下を向く。そしてテーブルの上で指を落ち着かず動かす。 「俺ね、……調理師免許持ってないし」 「ウェイターに免許はいらないです」 「でも」  言いにくそうに両手で顔を覆いながら、泣き出しそうなか細い声で言う。 「俺、中卒なんだ」 「それが何か?」 俺がすぐに返答したので、両手の隙間から目を出して驚いているのが分かる。 「中卒って恥ずかしいし、教養ないし、全然他の仕事受からないからコンプレックスだし、デメリットだと思うんだけど」 「俺は涼さんの良いところを知ってるし、別にデメリットとも思いませんが」 「……嬉しい」

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