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再会 高崎朝登 三

目を潤ませた涼さんが照れくさそうに髪を弄ってる。 「あの、なるべく早く住む場所見つけるから、ちょっとだけご迷惑かけていい?」 「迷惑じゃない!」 自分から言い出したんだ。迷惑ではない。それどころか、もう一度話したかったし、こうやって仕事以外のことで仲良くなりたかったんだ。 と言いたいけど、うまく言葉が出てこない。 一言怒鳴ったような形になって焦れば焦るほど、言葉が上手く出てこない。 「あはは。じゃあお言葉に甘えていいのかな。高崎さんって男らしくて優しいね」  涼さんは手を合わせて『いただきます』とようやく目の前のご飯に手を伸ばしてくれた。 言葉足らずの俺のことを理解してくれて気持ちを受け止めてくれたんだろ思うけど、そんな空気を読めるところも尊敬してしまう。 「でも、出版社で働いていたのに、どうしてレストランを?」 「ああ。両親が事故で死んでさ」 「……ごめん」 気まずげに下を向く。渡したスプーンに映った彼の顔が泣きそうなほどくしゃくしゃに歪んでいる。 「いや、その……両親とは疎遠だったから。でもレストランだけは手放したくなくて以前資格とか取っていたのは助かった」 「……そうなんだ。でもやっぱ、資格ってとっておくといいね。俺、貴方ちょっと不器用だから出版社で編集者してるの大丈夫かなって……あはは、自分の方が馬鹿なのに心配しちゃって失礼だよね」 高校時代に調理課コースのある高校に通って、卒業後はこのレストランを継ぐ予定だった。が、それを親に言わなくても伝わっていると思っていたのだが、言葉が足りない俺が悪い。 『あの子が何を考えているのか、よくわからなくて不気味なのよね』 ただの、愚痴だ。ただ、ついこぼしてしまった本音。 そういえばレストランの経営で多忙な両親に、自分の気持ちを伝えたことは無かったと思う。 家族だからと怠っていた自分が悪いんだと思う。 食事以外の会話もよく覚えていない状態で、分かってほしいというのも変なことだ。 「失礼じゃないよ。俺も言葉が少なくて、不気味だったらちゃんと言ってほしい。一緒に住むんだから」 「そっか。不束者ですかよろしくお願いいたします」 申し訳なさそうに頭を下げる彼は、キラキラした魅力的ある表情をする。 その表情が今はとても羨ましい。 手を伸ばしてみても彼にはなれないのに、その表情を生み出す顔に触れてみたかった。 「……高崎さん?」 「朝登でいい。唇にご飯粒がついてるから」 「あ、……ありがとう」 なぜか顔が赤くなった涼さんが、不自然に皿の上をスプーンでかき混ぜる。 「言葉が足りないとよく言われるので、なるべく行動で分かってもらおうとおもっていたんだけど」 唇に付いていた米粒を食べながら、真っ赤になっている可愛い涼さんを見る。 「嫌なら言って。いつでもやめるので。じゃ、上を片付けてきます」 「え、あ、うん。うん。いってらっしゃい……」

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