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距離感 Side:涼

「……褒めても何も出ないっす」 と言いつつも、嬉しかったのか自分の分のスクランブルエッグをお皿ごとくれた。 返そうと思ったのに、さっさと平らげてお皿をシンクに下げだした。 「いっぱい出たよ。ありがとう」 嬉しくて急いで平らげた。それが幸せ。 「俺さ、八人兄弟の長男だからさ、一人のお洒落なお皿にちょっとずつオカズが乗っかってるの夢だったんだ。可愛いなって」 「八人?」 「そう。だからお風呂もチビたちをいれるし、布団だって誰がどこで寝るのか分からないほど寝相わるいから、布団の隙間に体を入れて眠る感じ。だから広いベット初めてだし、こんな可愛い朝ごはんも、落ち着いた時間も初めてかも」 いや、朝登くんも今日は半休だから時間があるだけで、明日からも少し朝もバタバタするのかもしれないけど。 でも、この部屋の雰囲気とか、彼の料理とか存在とかあったかくて、心地がいい。 「ベット。ベットと、涼さん専用のランチプレートと、毛布と、あといっぱい買いましょう!」 「え、でも俺、所持金」 「俺からの、働いてくれるお礼です。食べたら急いでいきます」 「わ、分かった。急いで食べる」  こんなおいしいご飯を急いで掻き込むのは忍びないから少しペースは遅いけど。 でも、じっと見つめられてプレッシャーもあったので頑張ったのだった。

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