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愛情の表現 六
意外と綺麗好きなのか、仕事終わりと朝にお風呂入ってるんだよね。
まあレストランの中はいつもきれいだし、食器も調理器具も磨いているから、綺麗好きなのかな。
と思えば、換気扇が回っていない。だから廊下に温かい空気が漏れだすんだ。
換気扇のスイッチを押すと、まるで開閉ボタンだったかのようにドアが開いた。
「わ、……涼さん」
「た、タオル」
換気扇回してないおかげで、彼の上半身をまじまじ見ないですんだ。
けど、なぜ彼はもっと恥じらいを持って隠そうとしないんだ。
「ありがとう。すぐ朝食作ります」
「え、いや、――んっ」
バスタオルのお礼だと言わんばかりに、触れるだけのキスをしてきた。
「朝登くん!」
「さーて。出て行った方がいいですよ。俺の下半身も元気になってしまう」
「セクハラだからな!」
これだ。彼はあの日に、俺が怒らなかったのを良いことに不意打ちでキスをしてくるようになった。
わざと離れる時に、ちゅっと音を立てる、ままごとみたいなキス。
だけど、一回したから何回もしていいわけではない。
のに、なんで怒れないんだ。いやなら出て行けばいいんだし。
なのに、キスした後スキップしそうなほど嬉しそうに逃げていく朝登くんがそこそこに可愛いと思えてしまう自分がいる。
「うーーん」
「どうしました?」
今も濡れた髪を雑に拭きながら、三日目の俺のカレーを大事そうに取り出して温めている。わざわざ小分けして冷凍して、あんな安い肉の、市販ルーのカレーを三日も食べている。
俺には普通に和食を用意してくれたのに、この違い。
彼は俺の三日目のカレー。俺は、オクラとなめたけの和え物、お味噌汁、納豆、玉子焼きに鮭。全く一ミリも自分の作ったカレーが美味しそうに見えない。
「和食も作れるんだっと思って」
「ああ、基本何でも作れます。何が食べたいですか?」
「別に」
作ってもらうのは申し訳ないし、それに俺の我儘を聞きすぎだ。
「今日は休みなんですが、どっか行きます? 近くにドッグカフェとか、ふくろうカフェとかもあるけど」
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