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劣等感 

Side:涼 厚真兄ちゃんがちょっと苦手だったのは、きっと俺が学歴にコンプレックスを持ってることも大きいと思う。 けど今日、兄ちゃんと色々話せて誤解だったと分かって嬉しかった。 なんだか少し顔がにやけてしまう。嬉しいことがあると顔がだらしくなるから困る。 家に帰ると、二階は静かだった。シンクに朝の食器が、浸けられたままになっていた。 彼も出かけるって言っていたから、まだ帰っていないようだ。 皿を洗い、冷蔵庫の中を覗く。今日は夜ご飯何を食べるのかな。 俺でよければ大味のモノを作るけど。 ……けど早く朝登くん、帰ってこないかな。 嬉しくなる。早く、朝登くんに会いたくなった。 きっかけはなんであれ、朝登くんが俺の仕事ぶりを褒めてくれたり、履歴書の字か綺麗だとか小さなことを見てくれていたことが嬉しい。 厚真兄ちゃんが言っていた奉仕って意味が少しわからないけど、家事したり店のことをもっと頑張って彼の負担を軽くしてあげるって意味でいいんだと思う。 だから早く帰ってきて、一緒のご飯を作りたい。 ……キスは、そんな沢山はできないけど。でも、ちょっとだけなら。 なんて変なことを考えていたら、一階の階段から小さな音がする。 「朝登くん、帰ったの?」 階段を覗くと、ゆっくりと上がってくる朝登くんが見えた。 「おかえり。あのさ」 夕飯何にする、と聞こうとして固まる。 何か匂う。……これはアルコール? よくみると手にはビール缶が握られている。 「お酒、飲んでたの?」 「なあ、いくら貰った?」 目が座っている朝登くんが、俺の方へにじり寄ってくる。 ……酔ってるんだ。 「どうしたの?」 「俺もお金下ろしてきた。何万出したら、涼さんとエッチできる?」 「え……?」 信じられない言葉に固まった。酔ってるの? それにしても、その言葉の意味が分からなくて、首を傾げる。 すると、俺のその言葉に、朝登くんが持っていた缶を握りつぶすと床にたたきつけた。 「だから、いくら払ったら、キス以上の奉仕をしてくれんの?」

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