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口実探し 二
Side:涼
『涼ちゃん、お店がやばいよ』
それは、一通のメッセージだった。
ちょうど弟のシーツを干している時だった。
今度中学生になる双子の兄弟に、高校生の弟と妹、そして去年生まれた赤ちゃんと、お腹の中にもう一人。
……神聖なことだから、産むなとは言わないけど、もう少し考えてあげて欲しい。
「あの、こんなこと言うのあれですけど、来年、弟は受験ですよね。大学の」
「え、ああ。行きたいなら奨学金しかないわねえ」
朝から悪阻が酷いらしく、ソファで眠っている義母さんが呑気にそんなことを言う。
この家から通える大学は限られる。弟や妹が家事をしているらしいけど、受験生に何をさせているんだ。高校卒業して就職したはずの2人は、この家に寄り付かないとも言うし。
そんな風に毒を吐きてしまう俺は、きっと今、ひどくやさぐれているんだと思う。
自分だって無職なのに。
『涼さん、急いで動画見てー』
「あ、美穂ちゃんかあ。もう学校終わった時間かあ」
じゃあ弟たちも帰ってくる。妹が保育園に迎えに行ってくれるらしいし、ここにいても俺だけが忙しいわけじゃないのは救いだけど。
美穂ちゃんは、朝登くんのレストランによく来るショートカットの元気で可愛らしい女の子だ。耳に付けたブルーサファイアのピアスが可愛いなって思っていたんだよね。
そういえば漫画貸してくれるって言ってたな。
携帯を片手に、ご飯の準備をしようとして固まった。
美穂ちゃんが送ってきた動画に、厚真兄ちゃんと……朝登くんが向かい合って座って話している姿が映ったから。
「えええ? なんで? えー、なんで兄ちゃんが?」
冷蔵庫の前でぐるぐるまわって、考えても全く分からない。
何がどうなって、あの二人が会ってるの?
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