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口実探し 三
『あいつの家がどんなのか知ってるのか。家に帰ったら試験勉強なんてできないだろ』
厚真兄ちゃんが、俺のために怒ってくれてるのか。
……いや、でも帰ったのは俺が我慢が足りなかったから彼のせいじゃなくて。
『え。涼さんは貴方のところへ帰ったんじゃないんですか』
『は?』
『俺……先週貴方が涼さんにお金を渡すのを見たんです。俺に奉仕しろって言ってましたよね』
えええ?
何がなんだろう。何の話をしてるんだろう。
動画を見ていたら『お店を準備中の看板にしてきた。二人ともめっちゃぴりぴりしてて、やばいよー。涼ちゃん、あの眼鏡の人に借金あるの?』
こっちは花ちゃんだ。茶髪でゆるいパーマの掛かっている、言葉がちょっときつい感じの美人さんだ。
ああ、女子高生に心配かけさせるなんて、申し訳ない。
『俺は既婚者だ。何か勘違いしてるなら、やめてくれ。俺は涼の従弟だ』
『それは、グッジョブです!』
ぶほっと吹き出す声が一緒に入ってる。花ちゃんと美穂ちゃんが朝登くんの言葉に吹きだしたんだ。
いや、俺も今のはちょっと笑った。
言葉を伝えるのが苦手って言ってたから、つい飛び出したのかな。
動画の映像は少し荒いけど、朝登くんが厚真兄ちゃんを睨みつけているのは分かる。
『動画見た? 生中継電話していい?』
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