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口実探し 九

『今日は店長がディナーを奢ってくれたよん。煮込みハンバーグでした』 『私はロールキャベツ。めっちゃ緊張してるのか、いつも以上に笑顔のない店長でーす』 美穂ちゃんたちから、カウンターの向こうの朝登くんが送られてくる。 驚いた。顔が険しい。今から戦場へ向かう戦士のようだ。 「明日、何時に迎えに来るのかな?」 『わかんない。店閉めた瞬間に、飛び出しそう』 『わかる。うける』 ……朝登くんらしい。 俺も彼とちゃんと話そう。 俺の態度や黙って逃げたこともきっと彼は傷ついているだろうし。 少しでもいいからお互いの気持ちを伝えて――。 『っていうか、店長って涼さんが好きなの?』 「ぶっ」 「大変だ。次は兄ちゃんがお茶吹いた!」 「ちょっと、ぞうきん」 「わ、ばか、それは俺のパンツ」 ――好きなの? そういえば、そういう感じのことを言っていた。 キスされた時点で気づいていたことなんだけど、いざ直視すると驚く。 ……それについても彼と向き合わなければ。

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