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口実探し 十一

同じく学ランの男の子も横切った。 おー……涼さんに似て、優男だ。絶対にモテるぞ。 「兄ちゃん、おにぎり作ってくれた?」 「玄関の靴箱の上に置いてるよ」 「今日、体操服いるっていったのに!」 「自分で用意しなさい。向こうに干してるでしょ。俺ら聖羅を保育園に……」 「あっ」 しまった。朝のバタバタ忙しい時に空気も読まずに来てしまった。 朝一で車に跨ったせいではあるけど。 もう少し時間をずらせばよかった。 「どうしたん? このイケメン誰?」 「あー、喧嘩したっていう同居人?」 「おにーちゃん、はずれたよー。恋人と喧嘩じゃないよー、友達だよ」 ぞろぞろと、子どもたちが集まってくる。 自転車に跨った二人は高校生? おにぎりもって野球部の鞄もっている男の子と眼鏡をかけている子は双子かな? あ、涼さんが高校諦めたって言ってた時の子ども? で、涼さんが抱っこしている子もいれて五人? 下に八人兄弟いるって言ってたようなきがしたけど、どうしよう。 ちらっと涼さんを見ると、頬を膨らませている。 ああ、やっぱまだ怒ってるのか。当たり前だけどさ。 「あの、人数分、お弁当を作ってきたんです。十人前のお弁当です」 「は?」 「大皿で食べるより、自分のって安心して食べたいって言ってたから、お弁当を10人前です!」 ロールキャベツや煮込みハンバーグは昨日多めに作っていたから、意外と手間はかからなかったけど、うちは宅配とかしないから良いお弁当の箱がなくて時間がかかってしまった。 「うわあ、美味しそう。豪華な夜ご飯」 「十人前って、昌兄ちゃんたちはこの家に帰って来ないって言ってたから俺が貰おうっと」 「わー、ずるい。じゃあうちは聖羅の分」 しまった。とっくに成人してる子や赤ちゃんまでは考えていなかった。 「俺の分は?」 「……涼さんは俺と帰るのでありません」 勢いよくそう言ってみたが、内心はひやひやしていた。 どうだろうか。怒られるだろうか。 「……」 「涼さん、俺と帰ってください」

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