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口実探し 十三
Side:涼
俺の家族の問題に、朝登くんがここまで突っ込んでくるとは思わなかった。
というか、あのお金は一体なんなんだ。どれぐらい入れたんだよ。
「なんだよ、あの金! あんなの子どもが受け取ったって困るだろ!」
「でも涼さんが責任を負う必要はありません。……ここに居ても、どうせ義母に良いように使われるだけです。貴方が甘やかしたら子どもたちもあの親も成長しません」
「……でも」
「涼さんは、涼さんの人生を生きる権利がある。涼さんの人生を助けてくれなかった人たちの人生を負う必要ないです」
俺は、弟たちが高校に行けて良かったって本当に思ている。
下の子たちがちゃんと高校に入学できるなら問題ない。
俺みたいなコンプレックスの塊にならないように、援助することを自分を犠牲にしてるとは思っていない。
けど――俺が気づいていないだけで色々我慢していたのかもしれない。
信号になって、沈黙が続く車内で彼は深く頭を下げて涼さんに謝った。
「多田さんに嫉妬して、貴方を傷つけて本当にすいませんでした!」
「……ほ、本当だよ! それ、絶対駄目だからな! お前、あれは……怖かったんだからな」
「ごめんなさい。本当に、申しません」
抵抗しようにも彼の力は強くてびくともしなかったし、表情もなくて、何もかも朝登くんに適わないって知ってすごく寂しくなった。
「朝登くんは、俺が好きっていうけど」
「はい。大好きです!」
「……男同士はお尻を使うって知ってて押し倒してきたの?」
「へ? あ、ええ!?」
驚いて挙動不審になった彼は、何故かそのままクラクションをならしてあたふたしだした。
聞いた俺だって恥ずかしいのに。
「……ちゃんと洗浄しないまま抱こうとしたら大変なことになるって、美穂ちゃんたちが言ってたぞ」
「あんのマセガキどもめが!」
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