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口実探し 十四

「というか、なんで俺が下なんだよ! 俺の方が力が弱いし低学歴だから?」 「ちが、――違います。その、……涼さんの方が懐が大きいし優しいし、包み込んでくれるからかなって」 「……おだてても、朝登くんはこわいから嫌だよ」 べーっと舌を出すと、困ったように髪をくしゃくしゃ掻きだした。 「俺はもうお酒は飲みません!」 「その方がいいね」 「言葉でうまく伝わらないって逃げ道を探すのも止めます。ちゃんと言葉で涼さんが好きだと伝えます!」 「……う」 それはどう反応していいか分からない。嫌だって言うか、嫌じゃないし。 「それと、貴方が高卒認定試験受かるまでは口説きません!」 「……え」 信じられない。だって、すれ違い様にキスしてくるような男だぞ、朝登という人間は。 「そんな信用できないって顔止めてください。高卒認定試験受かって、やりたいことがあるって言うなら、店も辞めて構いません。……居てほしいけど我慢します」 人と言うのは、数日でこんなに変わるものなのか。 いや、DVする人はハネムーン期があるって聞いた。 朝登くんだってお酒飲んだら……また、あんな感じになるんじゃないの。 いくら厚真兄ちゃんの前であんな風に言ってくれたって、俺は……。 「今は勉強に集中してください。でもランチとディナーはよろしくお願いします!」 「……正直でよろしい」 なんでこんな俺にここまでしてくれるんだ。 この前押し倒したことへの贖罪ってやつ? 『好き』だけでここまでできるの? でも……。 ハンドルを握っている彼の手をそっと握る。 「……涼さん」 「迎えに来てくれてありがとう」 居場所があるって思えるのは嬉しい。 俺も君の気持ちにちゃんと向き合うよ。 「……地の果てでも迎えに行きます」 「あはは、超こわーい」 「その喋り方、あの女子高生たちみたいです」 そうだった。帰ったらあの二人にもお礼を言わなくちゃ。

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