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スキンシップ 二
「眠れてるじゃんか」
「授業中の話だよー。気になって授業中眠れないで妄想ばっか」
「店長ってマイペースな涼さんに勝手に苛々して強引に迫りそうじゃない?」
「超わかる。妄想捗る」
「……二人から見てもそうなんだ」
ということは、俺だけが分かっていなかったのか。
彼ってストイックでクールなイケメンって感じなのに。
「え、まじでそうなの?」
「ライク? ラブ?」
「友人としてのラブだ!」
俺と美穂ちゃんたちの間に、大きな手が伸びてきた。
やや乱暴な音を立てて置かれたお皿には出来立ての野菜チップス。
塩が振ってあるのが、出来立ての香りとともに鼻を霞めてくる。
「きゃー。友人としてのラブとか意味深!」
「お前ら、最近食べ過ぎて子豚みたいだから野菜でも食べとけ」
「ひっどーい」
ムスっと拗ねた顔の朝登くんに、思わず笑ってしまう。
「なんすか」
「いや、……可愛いなって」
「――っ」
女子高生の言葉にわざわざ反応して、可愛い。
一つ貰うと、ゴーヤのチップスだったらしくてちょっと苦くてでも塩が効いて美味しかった。
「これ、俺も夜食に食べたい」
「あーテスト前とかヘルシーで良さげだよね」
「涼さんがお願いって言えば、店長ちょろいよ」
二人が俺を突くので、少し目線を逸らしていた朝登くんの顔を覗き込み見上げる。
「……お願い」
「――っち。飽きるまで毎日作ってやる」
「やった」
女子高生二人も『ボーイズラブだ』『生ボーイズラブだ』と大はしゃぎしている。
そっちのことはよくわからないけど、ちゃんと行動や言葉で素直に返事してくれる朝登君を見ると嬉しい。
「その代わり、絶対に合格しろよ!」
「はーい」
もう一週間を切っているので、休憩中もカウンターに勉強道具を持ち込んで勉強していたりする。
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