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スキンシップ 五
やっぱりちょっとぎこちなかったけど、それでも俺たちは少しづつ笑顔が増えてきたと思う。
今日はアイスケーキだったのだけど、二階の冷凍庫に俺の分を入れようとして固まった。
アイスが沢山入ってる。しかも色んなコンビニの抹茶味。
ハーゲンダッツから棒アイスまで。
朝登くんはアイスが好きなのかな?
「朝登くーん」
朝、ランチの準備中の朝登くんの背中に貼りつく。
すると大根の皮をむいていた手を止める。
「……危ないですけど」
「アイス、食べていい?」
「あ……」
「抹茶が好きなの?」
ニヤニヤと背中を突きながら聞くと、図星なのか少し頬が赤く染まる。
抹茶味が好きなんだ。ということは、俺が寝静まったときにこそこそ食べてたのかな。
別に隠さなくていいのに、可愛い。
「大好きなアイスだから駄目だよねえ。俺、バニラが好きだし」
「涼さん!」
大きい声を上げて、背中を突いていた手を、背中をねじられて避けられた。
やばい。からかいすぎたのかも。
顔を見上げると、拗ねたような顔で睨んでくる。
「冗談だよー。食べないよ」
「違います。触らないでください」
「え」
フンっと大きく鼻息を吐き出しながら、朝登くんが俺を睨む。
「俺から触ると怖がるくせに、涼さん、俺にべたべた触ってくるのずるいです」
「え、えー? そんな触ってないよ!」
「触ってます。キッチンで俺が何か温めてたら背中に貼りついたり、髪の毛拭けてないままソファの隣に座って来たり、ご飯粒付いてるとかいって頬触って来たり!」
「そ、それは、俺の家が狭くて、弟たちが背中によく貼りついてたからだし、髪の毛を乾かす習慣なかったし、ご飯粒なら弟たちには平気で取るよ」
「俺は弟じゃなくて、貴方を襲った人間です」
……。鼻息荒く威張られても、こんな時どんな顔していいか分からないの。
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