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第一歩。 四

涼さんが身を乗り出して二人の話に食いつく。 「俺の家って大きなフライパンとか鍋はあるんだけど、繊細なお菓子作りの材料とかなくてさ。ケーキとか炊飯器で作ってたんだよね。だから、ケーキバイキングの繊細で可愛らしい一口サイズのケーキ、すっごい興奮する」 「わかるー。今度一緒に行こうよ」 「駅前のホテルが完全予約制なんだけど一時間1500円で食べ放題やってるんだ」 「わー」 「……涼さん」 盛り上がっているところをわざと手遮る。 そうか。梟カフェだの動物系のカフェとかなら俺も偶に行くけど、この人は甘いもので釣れるのか。 「今度の半休で、行きましょう。ケーキバイキング」 「え、いいの?」 「ついでに合格してたら、これとかどうですか」 この前営業に来ていた業者のパンフレットを渡すと、女子高生二人もそれを覗き込む。 チョコレートタワーのレンタル。 お試しで一週間、破格の値段で貸し出しとの謳い文句で少し興味があった。 俺一人では大変だけど、涼さんがウエイターしてくれたらできそうだ。 「ええー。これ、俺も食べていいの?」 「もちろんです」 「楽しそう」 涼さんの一言で、このチョコレートタワーのレンタルを硬く決意した。 どうしよう……。マシュマロをチョコレートタワーに入れて喜ぶ涼さんが想像できて、今すぐマシュマロを買いに走りだしたいぐらいだ。 ……悲しいことに当面のライバルは、この二人になりそうだけど。

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