Side：涼 朝登くん……、俺の熱を心配してずっと起きてくれていたのかな。 ちょっと酷い態度をとってしまったのかな。 お風呂から出たら謝ろう。 ご飯も彼が好きなものを用意して……って朝登くん、特に好き嫌いもなくて本当に良い子なんだよね。 俺の大味のご飯だって美味しい美味しいって食べてくれるし。 この前、甘い玉子焼きを作ったら感動してくれていたので、玉子焼きを作ろう。 朝登くんは、だし巻き卵で口に入れるとじゅわっと香りが広がって美味しいのに、砂糖の入った子ども騙しなおれのたまごやきがいいなんて。 可愛いな。 テーブルを拭きながら、なんだか胸が熱くなった。 俺のちょっとした行動にも、朝登くんは不器用ながらもちゃんと言葉や態度で反応してくれるようになった。 ……あと気づいてないわけじゃないけど、全身からこう、好き好きオーラが隠されないようになった気がする。 俺、試験終わったんだよね。また、く、口説き始めるってこと？ 「あっ」 テーブルの端に置いてあった書類を床に落ちしてしまった。 台拭きをテーブルに置いてから、座ってその書類を拾う。 すると、その書類は近辺のアパートやマンションのチラシだった。