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第一歩。 十四

「ふん。お前に心配されるほど落ち潰れて――」 「厚真兄ちゃんっ」 言いかけた厚真兄ちゃんが、ふらふらと壁にぶつかる。 この人は、俺に厳しい人だけど弱音を吐かない人なんだと思う。 家族を守ろうとしてるけど、この人は誰が守ってくれるんだろう。 「……厚真兄ちゃん、今、いくら持ってる?」 「あ? 恐喝か?」 「いいから。よし。タクシーで家に帰ろう」 「何を言って」 「俺、家事は全部できるし大丈夫だよ。さ、行くよ」 ちょうど手をあげたら、タクシーが止まってくれた。 厚真兄ちゃんの家は一度目の前まで行ったことあるから大丈夫。 ただ送ってもしばらくは安静にしないだろうから、監視したい。 「すいません。○町の、アヴェニーレって言う大きな噴水のあるマンション分かりますか」  運転手さんが頷いてくれたので、なんとか無理やり乗せた厚真兄ちゃんの文句をはいはい聞きながら携帯を取り出す。 携帯には『終わりました。届けてきます。お昼は何がいい?』と朝登くんからのメールが来ていた。 届けるってことは電話したら駄目だよね。 液晶画面の中の時計を眺める。厚真兄ちゃんを送って監視して帰ったら、お昼に間に合わないけど、ランチ大変だよね。 『ごめんなさい。厚真兄ちゃんが倒れちゃって。なるべく早く戻るので、ちょっとだけ看病に行ってきます』 言い訳っぽくないだろうか。厚真兄ちゃんの名前出して、人のせいにしているように思われないかな。 この二人、この前言い争ってたみたいだし。 色々と心配していたけどメールはすぐに帰ってきた。 『こっちは大丈夫です。仕事が終わってから何か買っていきますよ』

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