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第一歩。 十七
「すまなかったな。こんな時間まで」
「大丈夫。終電あるし」
すっかり夜遅くまで居てしまった。けど、洗濯は三回終わったしゴミもちゃんと分別してまとめた。ご飯も、離乳食は三日分ぐらい作ってたし、ご飯のおかずも数個冷蔵庫に入れておいた。
兄ちゃんがタクシー代を俺に押し付けるので、それで野菜を買えと押し問答していたら、着信があった。
朝登くんだった。
「タクシー代、いらなくなったね」
「今日のバイト代だ」
「しつこいってば」
マンションの下まで、お車代だとまだ言い張る兄ちゃんと言い争いながら降りる。
すると、朝登くんが車から出てきて駆け寄ってきた。
「大丈夫でしたか?」
「朝登くん。ごめんね。休んじゃって」
「大丈夫です。一人でやってきてたんで。……これ、ハンバーグとか野菜スープを真空パックにいれておきました。書いている賞味期限は目安ですノデ。良かったらドウゾ」
「ああ、申し訳ないね。助カルヨ」
厚真兄ちゃんと朝登くんの語尾が段々硬くなっていっているのは気のせいじゃない気がする。
「涼は、子どもの扱いも上手いし、家事も慣れているし、良い旦那になるだろう。早く嫁を見つけろ。その前に安定した定職だぞ」
「もー。厚真にいちゃんは少し寝不足ぐらいがうるさくなくていいよ」
「うるさ?」
自覚がなかったのか驚いていた兄ちゃんに、べーっとしてから朝登くんと車に乗り込んだ。
「今日は華ちゃんたち来た?」
「……」
「朝登くん、聞いてるの?」
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