85 / 152
伝える方法が分からない。七
Side:涼
「あのさ、二人とも……ちょっといい?」
美穂ちゃんと花ちゃんを、店の一番奥に連れていく。
朝登くんが厨房で一番忙しい時間に、死角でしか聞けないこと。
二人はきょとんとしていたけど、俺の向こう側の席で俺が話し出すのを待っていてくれた。
「どうしたの?」
「また店長に何かされた?」
「あいや、えっと、俺じゃなくて、友達の話なんだけど、友達の」
自分のことと説明したら朝登くんに迷惑かけちゃうから、他人のことだと言った方がいいか。
「その、友達が、告白された相手に心の準備がない時期に色々あって、でも、その……最近は、嫌いじゃないなって思ってるらしくて」
「友達が……」
「友達が、ねえ」
二人は顔を見合わせた後、うんうんと深く頷いてくれた。
「詳しく聞くわ!」
「それって、好きってこと? あ、友人さんは」
「う……ん。どうなんだろう。たぶん、かな。でも、告白してき相手は、その……試験が終わったら、また口説くって言ってきたのに全然そんな素振りもしないし、好きって言ってくれないし」
「意気地なしかよ」
「気にしないでいいってば。慎重になってるんじゃない?」
「きっと俺が、あ、違、友人が、ひどく動揺して泣き喚いたからかな。で、俺……じゃなくて友人から大丈夫だよって言った方がいいのかなって、思って」
さっきだって、うたた寝してたのはワザとじゃないけど、どうなのかなってわざとじゃれてみたのに、大雑把なО型だって片付けられた。
俺だけ、同じ空間にいてあたふたしてて、情けなくないか。
俺の方が年上なのに。
「あのね、涼さん。大事なことを言うから耳を貸して」
「え、はい」
美穂ちゃんが深刻な顔で、俺に耳を貸せと言ってくる。
素直に耳を傾けると、両手で耳を包み込むと小さな声で言った。
――男同士のエッチの仕方、分かってる?
「え? え?」
「もうさ、えっろい下着着たり、あとはその制服。その制服、インナーなしで着たらストイックなエロさあるじゃん。それでさ、自分から誘ってみたらいいと思うんだよね。後ろでエッチできる覚悟があるなら」
ともだちにシェアしよう!