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伝える方法が分からない。八

「う、後ろでエッチ?」 「花ちゃん」 「りょーかい。買ってくるね」 「だから、好きならエッチできる? 涼さん――じゃなくて友達さんは男に抱かれるの平気? 好きか好きじゃないか悩んでいる段階で、これができるかできないか、それぐらい覚悟があるなら好きなんじゃないかな」 スマホを取り出して、何か文字を入力してスライドさせていく。 そして俺にその画面を見せてきたので、ひっくり返りそうになった。 男同士のエッチの仕方、事前準備について。 「……未成年がこんなサイト見たらいけません!」 「だいじょーぶ。最近の漫画はこんなのより全然激しいから。店長が担当してた漫画とか、毎回濡れ場。どのページも全て濡れ場。あれで18禁じゃなかったもん」 「……え、でも、うそ、これ、お尻?」 「ちょっと店長のちんこのサイズ図ってく? 寝てる間に、写真とか」 「それは流石に……」 えええー。男同士ってこんなことを受け入れる側はしなくちゃいけないの? というか、俺が受け入れる側なんだっけ。 うそお。こんな恥ずかしいポーズするの? 女の子なら可愛いだろうけど、俺がやっても萎えるんじゃないの。 「……あ、でもこんなポーズした俺を見たら萎える可能性もあるのか」 「無いでしょ。ないない。店長のオーラが、涼さんが息してるだけで可愛いって言ってるもん」 「ごめ、無理。今日、ご飯食べれない」 ショッキングな画像と、ショッキングな説明に、心が折れそうだ。 「美穂ちゃん、買ってきたよ。これこれ」 「これだよねこれこれ。ありがとー」 花ちゃんが薬局の小さな紙袋を、俺に渡してきた。 避妊用のゴムかな。このサイトにも、男同士でも病気防止のためにゴムは大事って書いて……。 「えっと、これって」 見た瞬間、馴染みのないものだったので静かにテーブルの上に置くと二人の前にスライドさせた。 「これって、便秘の人が使うやつ」 「もちのろん! それで処理しとかないと衛生的にあれなんだって!」 「や、い、いりません。お二人が使ってください、野菜不足だし」 「えー? 涼さんじゃなくてお友達の話しじゃん。この準備ができないならやっぱ好きじゃないんじゃないかな」 「好きじゃ、ない……」

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