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伝える方法が分からない。九

これぐらいのことって、この過程は愛し合う人たちがいつもしないといけないってことか。 「……ごめんね。実は友達の話しってのは嘘なんだ。相手は言えないけど、俺のことなんだ」 「えええ! そうだったの?」 「えーまじ分かんなかった」 二人を騙していたのは申し訳ないけど、でも俺は紙袋を見つめて息を飲む。 「でも、そうだよね。女性と愛し合う方がきっと楽だし、身体はそう作られているんだ。なのに同性に惹かれたってことは、触れてみたいってことは、心と体も同じぐらい準備しなければいけないってことなんだよね。……そうなんだよね」 気持ちだけ焦っていた。 もし朝登くんが、告白を後悔していて友達に戻りたがっていたらこれは処分すればいい。 「涼さん、すいませーん。もう少しで団体の予約が来るので、セッティングいいですか」 「す、すぐ行きます!」 エプロンのポケットに入れたら、パンパンになっておかしかったので、ロッカーへ入れようと走る。 「あ、お金! これ、いくらだった?」 「忘れた。多分プライスレス」 花ちゃんが、英語の意味も分からずにやにや笑うと、レジの方へ二人でそそくさ走っていく。 逃がすものか。

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