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伝える方法が分からない。十三

美穂ちゃんが、自分の頭をこつんと叩きながら店に入ってくると、見つめ合った俺たちを見て、親指を立てた。 「明日取りに来るわ!」 「な、なんで、そんな空気読みましたって感じの去り方なの!」 「じゃあねー。あとはメールでね」 「美穂ちゃんっ」 高校生に相談するぐらい、藁にも縋る気持ちで誰かに聞いて欲しかったのに。 今は、違う。 今は、朝登くんと二人っきりにしないでという、俺の心からの懇願だったのに。 「……まあ、ほんと予約の準備しないとあれなんで」 どれだよ。と言いたいけど、今は素直に頷く。 どうしてだろう。 相談する前の方がまだうまく朝登くんと話せていたんじゃないか。 朝登くんを目で追うだけで、動悸が激しくなる。 彼が意地悪なのに、優しい。 不器用なのは言葉だけで、それ以外は完璧なはず。 だから俺も、緊張しちゃうに違いない。 けど、けど――まだ朝登くんは少しは俺のことを好きそうだって感じた。 だから今度は俺が一歩歩みだす番だ。 まだこの気持ちを、どう表現していいのか分からないし、伝え方が分からないけど。 けど、まずはできることから慣れて行こう。 まずは、この紙袋の中身を使ってみなくては――。

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