93 / 152

溺愛×試練 二

「明日の半休?」 「そうです。良かったら、駅までブラブラしませんか。ケーキバイキングも行けないままだし」 「ケーキバイキング……」 オムレツを作っていた涼さんは、ハッとしてフライパンの中を必死で擦る。 丸めるのを失敗したオムレツを、端で形を整えて誤魔化そうとしているのが伺えた。 「もしかしてお腹の調子がよくない?」 俺が聞くと、『うひ』と変な声を上げて飛びだがる。 いくら俺でも、流石に涼さんの異変に気付いてしまうと思う。 「大丈夫だけど、ケーキバイキングはもう少しあとでいいかなって。あと明日は一人でぶらりと行きたいとこがあって」 「……そっか。そうですよね」 始終俺と一緒に働いて、俺と一緒の部屋で食事してれば見たくない日もあるか。 涼さんのストレス軽減が優先だ。 「じゃあ次の休日は、俺に空けといてくれますか」 破れたオムレツに、ケチャップをかけて誤魔化していた涼さんが、俺を見て何度も頷いた。 「……俺も、そう思っていた」 少し俯き加減で頬を染めて言われて、戸惑う。 そんな可愛い顔は、反則だ。 「行きたい場所あったの?」 「えっと……いや、違うけど、それぐらいには、俺の準備がいいかなって」 「準備?」 「こっちの話! ほら、チーズたっぷりのオムレツだよ!」 話したがらないのを無理に聞くのもいけないだろうと、可愛いオムレツを食べながら我慢するしかなかった。

ともだちにシェアしよう!