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溺愛×試練 三
「予約していた多田だが」
半休の後、一番忙しかったランチの終わりごろ、涼さんの従兄が奥さんとお子さんを連れてやってきた。
先日の顔色の悪さは良くなっていたが、俺を威嚇するように睨む目つきは相変わらずだった。
「厚真兄ちゃん、寧々ちゃんも。奥さん、もういいんですか?」
俺と多田が睨む中、涼さんだけがハイテンションだった。
「離乳食にかぼちゃと人参のパンがゆ作ってくれてたんだよ。まだ熱いかな」
「ありがとうございます。休日ではゆっくりお礼もできないかなって思って平日に来たんですが大丈夫でしたか?」
「もちろん。嬉しいです。寧々ちゃんもいらっしゃーい。可愛い招き猫もいるんだよ」
涼さんが飴の入ったグラスから取り出した目つきの悪い猫を見て、お子さんが泣き出したのは言うまでもない。
先日のお礼とか言って、菓子折りを持ってきた奥さんと涼さんが意気投合してクッキーのメイカーについて話し合っていた。
多田はなぜかカウンターに移動してきて、俺の料理を覗き込もうとしてくる。
「座って待っててドウゾ」
「それはドウモ」
全く心のこもっていない返事に、腹立たしかったが、涼さんの従兄だってことで寛大な心で許すことにした。
「……涼の親父なんだが」
それも、突然の単語に打ち消される。
「涼が未だに仕送りしていたことに気づいていなかった」
「どういこうことですか?」
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