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溺愛×試練 四

「あの義母から、涼に頼んだんじゃないだろうか。だから、俺が待ち伏せして説教したら驚いていた。遠距離トラックの収入はそこまで悪くないから、涼にあんなに仕送りを送らせるのはおかしいと思ったんだ」 「……じゃあ来月からはもう要らないんですね」 「ああ……。だが、俺が説明したらあいつは、傷つかないだろうか。どうも俺の言葉は攻撃的らしくてな」 はあとため息を吐く多田が、一気に良い人に見えてくる。 いや、元からこの人はこんな風に良い人だったんだ。 「直接、親父さんが涼さんに言うべきでしょ。できたら仕送分、涼さんに返してほしいぐらいだ」 「それは俺がもう言った。数か月分は返させる。本人はいらないと言うだろうが」 数か月分……。それが戻ってきたら、涼さんは専門学校ぐらいいけるんじゃなだろうか。 「あいつにお見合いも考えていたんだが、怒られた。子どもは好きじゃないと言われて驚いてる」 「そんな話までしたんですか!」 「つい。あいつ、いつまでも此処でヘラヘラしてそうだから。だがあいつは、今まで子供のいる生活しかしてこなかったから、自分の時間が欲しいとはっきり断られた。……色んな奴がいていいんだしな」 堅物で真面目で人の意見を聞かなそう、と散々なことを言ってしまいそうだったが呑み込む。 が、そんな男が涼さんの意見を聞き入れるってのはどんな心境の変化なんだろう。 「言ったでしょう。涼さんは俺よりしっかりした大人だと。そこまで貴方が心配しなくても、俺の方が分かってるので」 ふふんっと鼻で笑ってやると、煙草を取り出して威嚇してきたので禁煙と書かれた壁を指さす。 「貴方はこれから家族を優先していいんです。涼さんだって自分のことは自分でできますから」 「……分かっている。ただ早く幸せになれって言いたいんだ。お前、もしかして――」

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