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溺愛×試練 十
俺は乙女のように走り出し、着の身着のままベットに飛び込んで布団をかぶった。
が、運動神経とか反射神経も良さそうな彼だ。
ものの見事に追いついて、タオルを持っている。
「あの、風邪ひくからせめてタオルを」
「うるさーい! でていけ。ばかー!」
「こども……」
飽きれた声がして、羞恥心から死にたくなる。
いや、死ぬ。俺は今日中に自分の行いで死ぬ。
「あの……シャワーで自慰って珍しくなくて一般的なので落ち込まないでください。少女漫画の編集してた時は、そんな漫画も見たことあるんで」
「じ、ちがう! してない! 洗浄してただけなの!」
「あー……丁寧に洗うんですね。0型なのに」
なんだよ。信じてない乾いた声。というか、仮にも好きな人の裸だろ。
もう少し興奮するとか、普通なら入らないだろうに。
「……朝登くん」
「はい」
「ちょっと後ろ向いてて。帰らないでよ」
「はい」
素直にドアの方を向いた朝登くんを横目で監視しながら、美穂ちゃんたちに見せた例のモノを穿く。
半休の日、勇気を出して買いに行ったんだ。結構遠くまでいって買いに行った。
濡れた足にはなかなかうまく滑らなかったけど、なんとか入った。
というか、布がこんなに少ないのに、俺のブツが収まるのだけは解せない。
「朝登くん」
「はい。いいですか?」
「……うん」
恥ずかしかったけど、小さく頷く。
すると、振り返った朝登くんが視線を下に下ろした瞬間、固まった。
「……え?」
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