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第3話
「もー、今日の会長なんだかおかしいですよ?
入学式の挨拶も途中で止まったりして…」
副会長のお小言を聞き流しながら廊下を歩いていたら、
寮につづく道に一瞬妖精が見えた気がした。
「ごめ、先帰る!」
「あ、ちょっと会長⁉︎」
「また明日!」
生徒会の名簿で調べれば名前なんてすぐにわかるのだが、
そんなことも思いつかないほど俺は動揺していた。
・
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靴もきちんと履かずに追いかけて、
追いつけたのは妖精が寮の扉の前で立ち尽くしている時だった。
「ちょっと待って!そこの、えっと…1年!」
名前を知らないから呼びようもなく、声をかけると俺を見た。
あたりをきょろきょろと見回して、首をかしげると
「もしかして、僕のことですか…?」
小さいけれど涼やかな声だった。
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