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第4話
幼い時に聞いた声とあまり変わらないように思えた。
俺に笑いかけると、桜吹雪の向こうへ一瞬で消えてしまったあの子。
女の子だと思っていたが、男だったのか…
色々と考えるあまり何も返事ができない俺に
「もしかして、僕じゃなかったですか…?」
トテトテと近づいてきて、上目遣いに覗き込む。
「ぅわっ、や、違う、ごめん、君のことなんだけど…」
「…?生徒会長さんですね、僕になにかご用ですか?」
不思議そうに首をかしげて、にこっと笑う。
「あの、名前を教えてもらっても、いいですか…」
思わず敬語になってしまった。
「僕の名前は、宮城 春翔です!よろしくお願いします」
ぺこっと頭を下げて、またにこにこしている。
「それで、なんのご用事ですか?」
何の用かと言われても、特に用はない。
そもそも彼が俺を覚えているとも思えない。
言葉につまって、とっさに出た言葉は
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「俺と友達にならないか⁉︎」
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