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第4話
「ご褒美?何が欲しいの。金なら、会社に直接せびってよ。」
「そんなんじゃ、ありません。朝に言ってたじゃないですか、僕のケツなら掘っていいって。」
「えっ、いや…あれは冗談だし、笠置はむしろ怒ってたじゃん。僕のケツバージン、捧げてもいいかなって思う位、笠置が男前だなって褒め言葉のつもりで…」
「麻宮さん、言ったじゃないですかっ!」
目がすごく泳いでいるのは解った。
本気じゃなく言ってたのも知ってる。
「どうして、君が…こんな僕なんかと…」
麻宮さんの目には、明らかに動揺と困惑の色が色濃く映っていて、俺にどう接していいのか解らない位パニックに陥っているのが解った。
でも、酔いに任せてどうしても言いたくなった。
「好きなんですよ、麻宮さんが。俺だけに見せる顔、見せてよ。」
そのまま噛みつくようにキスをして、舌を絡めると、離れたがる麻宮さんの後頭部を逃さないようガッチリ抑えながら、口内を貪るように味わった。
麻宮さんは酒くさいけど、朝からつけている香水がほのかに残っていて、体温の上昇に合わせてどんどん香りが強くなってきた。
「はぅっ…んむっ…んんっちゅぅ…」
気の済むまで、唾液を絡ませたキスを堪能して離すと、頭をガツンとグーで殴られた。
「バカタレっ!ここ、僕の馴染みの店。女将が見たらショックで倒れるよ。」
「すみません…。」
「…もう、お勘定して、僕の家で飲み直そう。」
へっ。それって…。
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