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第18話
【恵果No10】
今は使わぬ火鉢を前に私はゆっくりと目を閉じた。
僧として、褒められる事などなにひとつせずに、行った大学で脩慈さんと溺れるような恋をした。
ただひたすらに抱き合い、睦言を繰り返し愛で満たされていた。
また、それが欲しかっただけなのに私は、ただの男好きと称されると...今度は開き直り何人もの人と身体を睦み合わせた。
人肌は気持ちよく快楽に溺れている時は、あの時の気持ちが蘇る気がしてた。
口付けは、あれ以来する気もなく、初めて唇を欲しいと思ったのは朝陽さんが初めてで、自分でも驚いた。
まさかその口付けを再びする事になろとは。思いもしなかった。
ただ、ただ、欲しかったのだ。
こんな私を侮蔑するだろうか...そう思う事が心を満たしてしまい今度は、他の男と体を重ねる事に嫌気がさしたと思えば脩慈さんは簡単にその私の思いを踏み躙ってしまった。
1度は子供が生まれたと離れた癖に。
今度は朝陽さんとの、たった数回の睦事の盗撮写真で私を脅し関係を続けている。
気持ちなど消え失せた私にはただ快楽を与えてくれる人としか認識しなくなった。
そしてそれがまた胸を締め付ける。
1度は愛した男なのだ。
◆
数日前...雲英と名乗る人から電話が来た。
先日寺の前で私を待ち伏せた人。
内容は、朝陽さんの事でなぜ奪う、帰して欲しいの繰り返し。
私はどうする事も出来ず、朝陽さんを説得して連れ帰ればいいと提案をした。
けれど、心は曇り空のように重くなるだけとなった。
私はどうしたいのか...どうするべきなのか。
最近姿を見ないのが急に不安になって、工事の進み具合の確認と称して朝陽さんを...呼んでしまった。
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