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第22話

【恵果No12】 痛む胸を抑えて、流されそうになる感情を抑える。 朝陽さんが、雲英さんの元へ謝罪しに行くのですら私は嫌なのだ。 それを口にしたら呆れられるだろうか…? 朝陽さんはこんなに汚れた私を愛してくれるのだろうか。 「大丈夫です、二度と恵果さんにこんな事はさせません」 そう言われてまた気持ちが揺れる。 私はどうしたらいいのか、どうするべきなのか。 「私の...携帯に連絡をさせない為に、あの人の所に戻るのでしょうか?」 何もかもが怖い気もする。 私の問に少し考えてから、答えが返ってきた。 「戻るのではなく詫びに行くだけです。雲英とはもう別れています」 別れていても...私みたいにズルズルと関係を続ける事だってありえる。 そう、考えていたら抱き締められて私はその温もりに安心を覚える。 この人の腕の中は...いつも私を大事にしてくれている。 すりっ、頬を胸板に埋めて両手は背中に回すと本当に逞しくなった体が私を支えてくれる。 「別れていて...それでも、朝陽さんを愛しているんですね...彼は」 その切なさが私の胸にも、のしかかってくる。 「俺の知らない所であんな酷いこと言われてた癖に、そんな事言わないで下さい」 そう言われて、朝陽さんの悲しそうな表情を見た。 でも、と口を開きかけた時。 「でも、どうして着信拒否しなかったんですか?」 それは、伝えていいのだろうかと考えたが、既に私の電話に出ている彼に誤魔化しは効かないだろう。 「それを、したら寺に直接かけてくると...」 手を握りしめ、まるで告げ口みたいな事だという思いを飲み込んだ。 抱き絞められた体がギュッと強く圧迫を感じた。 「そんなの愛でもなんでもない、執着です。雲英からの電話はいつから…、これまで何回かかってきてるんですか?警察には…」 あぁ、答えなければならぬのかとぽつりぽつりと口を開く。 「朝陽さんが、雲英さんを送って帰った翌日からで、回数はもう覚えていませんし警察になんて知らせたらこんな狭い町ですぐに噂になるのは朝陽さんが1番よく解ってるでしょ?」 そう言って腕の中から離れた。 「ずっと一人で抱え込んでいたんですね…」 そう問われて私はなんと答えていいのかと視線を迷わせ、こんな私が朝陽さんの優しさに甘えられるわけがないと思った。 私は...私は今も。 脩慈さんとの関係を断てないでいるのに。

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