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第27話

【恵果No14】 時は、私の存在を許さないかのように容赦なく過ぎ、頻繁に掛かってくる電話に胸を締められる。 雲英さんの悲鳴にも近い感情は私に深く棘を刺していく。 朝陽を帰して、お願いだからと懇願されれば、私は何も言葉を生む事は出来なかった。 そんなある日、久し振りに脩慈さんが家に来た。 もう、脩慈さんに私からこの関係を終わらせようとそう伝えようと思っていたのに、それを切り出す前に電話が響いた。 彼の前で何度も私は違う付き合ってなど居ないと伝えても、帰しての一点張りに疲弊していた。 その時、脩慈さんが私の電話を奪って言ったのだ。 「よく聞け!恵果は俺のだ、あんなガキに渡す訳ないだろ?付き合ってもないのに勘違いで妄想に駆られるな。」 その言葉に、返事はなかったのだろう。 すぐに電話は彼の手によって断ち切られた。 目の前で見せるその姿に泣きたい程救われてしまった。 そして、その日... 脩慈さんの愛撫に、溺れた。 「良いか、あんな自分の始末も出来ない男にお前は不釣り合いなんだ...雲英とか言うガキが、お前をこんなにグズグズにしてるんだったら、俺が面倒を見てやるから、昔の様にまた呼べばいい」 そう、脩慈さんは勝ち誇った様に吐き捨てて帰って行った。 そして、携帯を見るのが怖くなり受電しても携帯を確認しないで居ることが多くなった時。 朝陽さんが、何度か連絡をくれていることに気づいた。 折り返すのも...気まづいのは、脩慈さんと関係を持ってしまったから。 気持ちはもう、朝陽さんに向いていても尚私は脩慈さんを受け入れてしまった。 その事を考えると頭が真っ白になり、呼吸も苦しくなってくる。 そんな中...朝陽さんからの着信につい、通話を押してしまった。 「恵果さん、やっと繋がった。朝陽です。あの後雲英からまた電話はありませんでしたか?」 なぜ彼がその事を知っているのかと驚いた。 「電話が?...何故ですか?」 心拍数が跳ね上がり、じんわりと手が汗ばむ。 「何故って、あの…どうして俺に言わずにあの人に…」 あの人とは...脩慈さんだ、私はなんと答えて良いのか言葉を詰まらせた。 話そう...隠す事が叶わぬなら嫌われても良いから話そう。 「その事は電話で話すには長くなるので、来てくれませんか?もしくは私が伺います」 そう伝えたら、朝陽さんが夜にこちらへ来てくれると申し出てくれて会話が終わった。 携帯を置いて大きく溜息を吐くのすら震えていた。

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