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第37話
【恵果No18】
背中合わせで指先を絡め、互いの見る方向は違うのに同じものを見ているような感覚。擽ったさと、今までに無い初々しさを感じたら、何だかおかしくなってクスッと笑った。
背中を離し、そのまま振り向けば朝陽さんの背中が見えて、抱きしめる。
この人が私だけを見ていてくれると思うと愛おしさがこみ上げてくる。
「やっと俺のものになってくれるんですね?」
と、問われクスッと笑って見せた。
「私のものでもありますね」
そう言って耳元にあった朝陽さんの顔に頬擦りをすると、彼は驚いたように息を飲んだ。
「俺はもう子供じゃないので、そんなのじゃ満足できません」と、私を見て告げる男は私を大事にしてくれて、愛し守ってくれる存在なのだと思うと胸が締め付けられる。
「子供では無いですね、もうちゃんとした大人の男です」
そ伝えて目をゆっくりと閉じた。
ふわりと、温もりが唇に重なり、態勢を変えた朝陽さんの腕の中私がゆっくりと口を開けば待っていた様に中へと入り込んで来た。
その舌を私も甘えるように絡めると甘い息が漏れ出る。
「んっ、もっと...下さい」
そう言って自分から再び唇を重ね、彼の背中に腕を回したら体がピタリと重なって温もりが熱に変わって行く。
朝陽さんが、私の体を倒すとこれから起こる事が安易に予測される。
この逞しい体に抱かれるのだと思うと喜びが生まれ、重ねられた手が甘く痺れを齎 した。
「欲しいものは全部俺が与えます、何があっても」
そう言いながら、私をのぞき込む目の中にはあの当時と比べ物にならないほどの熱く強い情熱を孕んでいた。
その熱を私に向けてくれる人は、朝陽さん...貴方しかいない。
「貴方が...欲しいです」
そう素直に吐露した。
「もう全てあなたのものなのに、俺の何が欲しいのですが?ちゃんと言って下さい」
あぁ、すべて私のものなのか。ならばと私は朝陽さんの首を引いて横に顔を埋めさせると囁くように返答を返した。
「全て私のならば…解るでしょう?もう、私のは堪えきれないほど貴方を求めている事を」
下半身を軽く突き上げれば、既に臨戦態勢の整った互いの熱が熱くぶつかり合う。
「んっ...」と、声を漏らし身体が震えた。
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