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第44話

【朝陽 No. 21】 粘度のある液体を付けた指で入口の周辺を浅く押してゆく。触れるごとに柔らかくなるその中心に中指を当て、抵抗を押して指を入れた。 指の緩慢な動きに反応して無防備に反らされる白い喉がうす暗い部屋に浮かび上がる。この人を悦ばせているのは自分だ。そう思うだけで既に先端から液を滴らせている欲望がはちきれそうになる。 早く中に入ってこの人の奥まで繋がりたいという雄の衝動がせり上がるのを何度もやり過ごして、丹念に解してゆく。 指を増やすと、口の中で朱く尖った胸の突端が舌先でますます固くなる。 「も、欲しい...朝陽さん、私の中に...」恵果さんの躰が震えた。 「俺も…今すぐにでも。でもまだ、あなたの乱れる姿を見たい…」 すでに蕩け切った表情でイヤイヤというように首を振って強請ってくる人に微笑みかける。 中で指を曲げて反応をみながら探ってゆくと、ある箇所で微かな手ごたえがあった。ここかと思い擦り上げてゆくと、悲鳴のような嬌声を上げて恵果さんの躰が跳ねた。 「あ やっ、やぁ...んんっ、や、朝陽っ」 快楽を溺れかけた声で名前を呼ばれる喜びに眩暈がする。 「もっと…もっと俺の名を呼んでください」 荒く息を吐いて悶える忘我の恵果さんから指を引き抜き、既に蜜で濡れそぼった自分の切っ先を当てがった。涙とよだれでぐちゃぐちゃになった顔に張り付く髪を避けると、切なげな光でこちらを射貫く瞳にこの上なく欲情を煽られて一気に貫いた。 「ぅ、あぁ!」 恵果さんが躰の深い所から声を出す。熱く締め付けられた自分の欲望が強く脈打っている。 「あっ、はぁ...朝陽、さん...すごい...」 頬に伸ばされた手を取り、熱く汗ばむ掌に唇を這わせてゆっくりと腰を引いて再び押し入れてゆく。擦れ合うたびに自分たちの境目が溶け合ってゆく感覚を覚えて鳥肌が立った。 恵果さんの口から自分の名前を聞くたびに腰の疼きは高まり、張り詰めた屹立に意識が集まってゆく。 「恵果さん…、はっ…痛い位に、絞めつけてます」 さっき見つけた恵果さんの敏感な箇所を目指して先端で探ってゆく。そこを通るたびに少しずつ中が弛緩して息が荒くなる。 二人の腹の間で再び勃ち上がって揺れている恵果さんのものを握りこんで、速度を上げて追い込みをかけていゆくと、ある瞬間ふっと息遣いが変わった。掌の下の皮膚が急にしっとりとして中が狂おしく締め付けてきた。 それに呼応して自分の身体の中で切迫感がせり上がり思わず言った。 「一緒に…!」 言葉は続かない。ただ肌がぶつかり、ベッドが音をたててきしみ、汗や体液の散ったシーツがぐしゃぐしゃに乱れて寄ってゆく。 恵果さんの脚がおさえていた腕を押し返して腰に絡まり、腕が自分を求めて縋り付いてくる。筋肉が緊張し、部屋に恵果さんの声が響いた。 「ひっ、あっ、や、も...っあああっ!!」 大きくのけ反って脱力する躰を抱きしめ、中に抉るように腰を打ち付けて自分の熱を注ぎ込む。恵果さんの屹立を握る手を緩めると、上り詰めた熱が腹の上に散った。

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