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第45話

【恵果No22】 ゆっくり目を開けば、朝陽さんが私の体を清めてくれていて、視線が絡むと恥ずかしくて違う方へと顔を背けた。 「身体はしんどくないですか?まだ休んでいてください」 余裕がある言葉に、私は唇を尖らせた。 「朝陽さん、あんなに動いたのに平気そうですよね...私は動けないのに」 なんだか悔しくなって、ポロリと本音が漏れた。 何が楽しいのかニコニコと私の横に滑り込んで来て頭の下に腕を収められ、なんだかむず痒い感覚。 今までの人は...終われば帰っていったから、どうしていいかわからないのに。 「俺はまだ動けますよ?」 なんて、平気で言うから思わず恥ずかしくて、唇を重ねた。 ある程度の軽めな口付けを終わらせると、自ら朝陽さんの厚い胸板と腕の付け根に頭を乗せた。 「意地悪ですね、もう私は動けません」 そう言って不貞腐れる。 そして私の髪を撫でながら慈愛に満ちた表情で私を覗き見てくる。 「意地悪じゃありません。こんな風に寄りかかってもらえて、嬉しいんです」 髪を梳きながらそんな言葉が吐けるほど大人になったのだ。 「あの日...突き放して良かった」 成長を、今目の当たりにしあの日の自分に感謝したい程この人は立派な男になったのだ。 その言葉を投げ掛けると髪を梳いていた手が止まった。 「5年前の俺はそんなに子供でしたか?」 その言葉にクスッと笑った。 「あの時の私の気持ちは、今の貴方はどれだけ理解していますかね?」あえて、答えは伝えず投げ掛けた。 少しは成長した言葉が欲しかったのかも知れない。 「あなたは、ここに留まるなと背中を押してくれた。自分の足元を濡らす重い泥に足を踏み入れないように突き放してくれたんだと思ってます。 あの時の俺は未熟でそんな事も想像できなかった。こうして寄りかかってもらっても支える事は出来なかったでしょう」 その言葉に、受け入れてもらえたのかと嬉しくなる。 思わず胸板にすりすりと頬を擦り付けた。 「でも、あの時からずっと思っていたんです、苦しんでいるあなたの隣にいたいって。おかしいですよね、自分の事もままならない子供だったのに」 その告白に、私はなんて酷いことをしたのかと、胸が痛む。 「ごめんなさい...さぞ、辛かったでしょう」 そんな言葉しか産めずに、そっと胸の上に手を置いた。 「平気です、なんて言ったら嘘になるけれど、自分が謝罪をさせていると思う方が辛いです」そう言うと私を優しく包んでくれた。

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