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第47話
【恵果No23】
朝陽さんと思いが重なり、私はあの日、大学時代に舞い戻った気持ちだった。
あの人は私を選んでくれた。
それだけで気持ちは満たされるのだから、やはり恋愛とは面白い。
そして愛おしくもある。
今は朝陽さんも忙しくしていて、もうあれから1週間は過ぎた。
蜜月と呼ばれる日は私には訪れないのか...そんな事をふと思った。
縁側に腰掛けて、空を見あげれば夏はもうすぐと言わんばかりの照り付ける太陽に目を細める。
眩しくて、暖かくて、本当に彼の名前と同じ朝の光は私を包んでくれるのだ。
「恵果さん!本日渡辺様がご来訪されると連絡が入りました」雲水の言葉に、彼とももうしっかりと決着を付けなければならないと、私は立ち上がった。
「わかりました。私は朝の務めを終わらせて参りますね」
そう言って本堂に向かい経典を開き心を落ち着かせる。
そして対峙の時が来た...彼は大抵朝のお勤めが終わり、昼までの時間で来ることが多く今回もその時間帯に現れたのだ。
「恵果...」
「脩慈さん、お待ちしておりました」
部屋へと通せば、私の背後に座り胸元へと手を滑らせてくる。
「脩慈さん、もう...やめてください」
拒否はしていた...けれど彼はいつも折れてはくれなかったし、今回もまた、折れてくれることはなく。
写真を見せられた。
私と朝陽さんの睦み合う姿。
「その写真は無効です」
「お前は、これで十分だろ?あんなガキにお前は縛れないさ」この男はどこまで私と朝陽さんを馬鹿にするのか。
そう思うと滑稽でもあった。
肉体だけて繋がっていた私と彼の関係はここで断ち切るのだ。
「見て下さい」
私の名をひたすら呼んで、必死に腰を振り、達するまでの動画。
脅されてから私がこの時のためにと、隠し撮りした物だ。それを見て、さすがの脩慈さんも動揺が隠せずに引きつった笑いを見せた。
「御家族にこの動画を見せることは可能です。
貴方が私を脅すのであれば、私も同じ様に貴方を...脅します。
金輪際私には、仕事以外では関わらずにいてくれる事とこの写真の元画像から私に返してくれたら、この動画も破棄します」
そう伝えたら彼は渋々ながらに受けた。
来週画像ごと私に戻してくれると約束をして帰っていった。
まさか私自身が彼との別れを口にするなど思ってもなかったのだろう。
翌週に写真を持って来てくれた日も名残惜しそうに私に触れてきた手を払い落とす。
「恵果...お前は幸せか?」
そう問い掛けられて、素直に頷いた。
それから数日...朝陽さんからの連絡は無くて、私は会いたさを募らせた。
電話でもしてみようか...でも、仕事が忙しいと言っていた...本当は違ったら?いや、疑ってはいけない。
彼は脩慈さんとは違うのだからと言い聞かせて私は電話をする事を決めた。
何より、声が聞きたかった。
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