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第49話

【恵果No24】 電話を持って、睨んでみるも朝陽さんからの連絡は途絶えたままで、私から連絡をしてみようと思うも、もし忙しかったらと留まった。 どうにか会うための手立てがないだろうかと考えてふと思い立った。 雲水を呼び付け、菓子折りを用意させると外へと飛び出た。 会いたい...あれからの事を話したい、彼とも綺麗に決別をしたのを1番不安に思ってるかも知れない彼に伝えたい...その思いが私を駆り立てる。 バスに乗り、会社に着くと朝陽さんが丁度車から降りて来る姿を見かけた。 思わず、身体を翻し社名が刻まれた門の陰に隠れた。 ドキドキと心脈が煩くちらりと足元を見ると髪がぱらりと顔に掛かり、手で耳にかける。 人の歩いて来る気配がジャリジャリと、足音と共に近付いて来て更に鼓動が早くなる。 「恵果さん?どうされたんですか」 あっさり見つかってしまった事にも羞恥心が沸いたがそれよりも目の前の彼の姿に息を飲んだ。 包を片手で持ち、右手をゆっくり頬に滑らせる。 「最近、寝てますか?酷く顔色が悪いですよ」 そう言って少しでも、良くならないかと手当ての様に頬をゆるゆるとなぞった。 その手を掴まれると朝陽さんが薄く笑った。 「…ありがとうございます。あなたに会えたので、もう大丈夫になりました」 なんて言うから、口元が緩みそうなのを下を向いて彼の目から逃れ、持って来た包を押し付けるように渡した。 「家の修繕のお礼です。皆さんで食べて下さい」 そう言って押し付けると1歩下がった。 「…あなたは、そんな事をして俺を殺す気ですか?」 なんて、随分物騒なことを言い出したと慌てて見たら、朝陽さんが頬をほんのり赤くして困ったような顔を見せた。 するりと手が私の唇をなぞり、ドキドキと鼓動を跳ね上げた。 「ここでは、これが精いっぱいです。仕事が落ち着いたら会ってください」 私の唇を撫でる指に熱を感じそして、その言葉に、私は唇をなぞる手を取り、そっと口付けた。 「あまり、待たさないで下さいね?」 そう告げて、足早にその場を去った。

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