放課後から９時まで練習場所の体育館で汗を流し過ごした。 体育館からウチまで和夢と二人で帰る。 きっと大学に入っても変わらない生活のリズム。 俺も和夢も地元の私立、早慶大に進学が決まっている。 この心地の良い生活が続けばいいと思っている自分に気付く。 …………俺は幸せになっちゃいけない。んだ…。 和夢を巻き込んじゃ………ダメだ。 「慧、じゃっ。」 玄関への別れ道。 和夢は右に曲がってもう一度左折する。 俺のウチはそのまま真っ直ぐ。 「ん。またっ。」 軽く手を挙げ和夢と別れた。 部屋に荷物を投げて、洗濯物と着替えを持ってシャワーを浴びに風呂場に向かった。 今夜は父親はいない。 長距離トラックの運転手の父親の帰りは今朝の出発だったから４日後の予定だ。 母親は………留守がちの父親に甘えきれず、他に甘えられる男を作って俺が小三の時に出て行った。 だからか みんなの言う女の子の『上目遣いの可愛いさ』が 俺にはどうしても男に媚びる母親と重なり嫌悪感しか湧かない。 着ていたモノを洗濯機に放り込みシャワーを浴びた。 髪を洗い躰を洗う……。 自分自身を洗おうとした時、可愛らしい笑顔が浮かんだ。 俺が小学校二年の時に一目惚れした子。 後にも先にも好きな子はあの子だけだ。 ボディソープの力を借りて自分自身を上下に摩りあげる。 ソレは直ぐに快楽へと変わる。 茶色のクセのあるフワフワとした髪。 ビー玉みたいに透き通った綺麗な大きな瞳。 桜色した可愛い唇。 陶器みたいな白い肌。 細く綺麗な指。 長い手足に華奢な躰。 後ろから見た綺麗なうなじ。 目を閉じればあの子の優しい笑顔が直ぐに浮かぶ。 誰にでも優しく純粋なココロのあの子。 あの子の恥じらう笑顔を浮かべ…… 俺は白い液体を放った………。 俺の中であの子は小五のまま止まっている。 俺の気持ちもあの時のままだ…………。