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第14話

ライブハウスに着くと7時からスタートなのに既に会場の外は人で溢れてていた。 まだ中には入れなさそうなので 和夢と二人で駐車場の隅で待っていた。 真っ黒いハイエースが到着しぞろぞろと綺麗な男達と黒髪の美少女が通用口に入っていく。 「慧……何かスゴイね? 出演者かな?」 「そうだな。そこらの学校バンドとは違うな。」 一人の男と目が合った。 男は俺達の元にやって来た。 「サト、ちょっとこっち入れよ。」 和夢と顔を見合わせてもお互い知らないと首を振る。 「サト、来いよ。」 綺麗な男について行った。 男は控え室に入り、俺達にも入るようにすすめた。 「イク、誰?」 「コイツはサト。慧だ。」 「イク?郁弥?」 「お前、忘れてんなよ。 ナゴは覚えてるよな?」 「…………郁弥?」 「あぁ。3年ぶりだな。」 「イク……俺と話してくれんのか?」 「あぁ。 もうミキを悲しませんなよ?」 「え〜この子? ミキちゃんの事傷つけた子って。 くうは許さないよぉ。 ミキちゃん高一まで大変だったんだからぁ」 「空センパイ……ミキが許したって…… 心配かけてごめんなさいって言ったんで。」 「もぉ ミキちゃんは優しいんだから。」 「くう?おいで。」 黒髪の美少女は大きな男の膝の上に抱えられて座った。 「くうは怒らないの。くうは笑っているのが一番可愛いよ? ミキも可愛いくうが好きだぞ?」 「うん。そうする、りっくん。」 また別の男に声をかけられた。 「姫が許すなら俺らはこれ以上何も言わない。 次、傷つけたら………お前は…ないと思えよ。」 今まで黙っていた和夢が声を荒げた。 「何だよ。慧が何したんだよ。 何でこんなに責められなきゃいけないんだよ。」 「いいよ。和夢……。」 「ナゴ、ミキはなコイツの言葉に傷ついて不登校になった。 サトに懐いていたから……人間不信にもなった。 ここのメンバーや家族のおかげでな やっと落ち着いたんだよ。 外に出られるようになったんだよ。 頼むからもうミキを傷つけないでくれよ……。」 イクは綺麗な顔を歪ませて涙を流した……。 イクを後ろからそっと抱きしめて手を摩る男……。 「悪いな。俺ら姫のツライの見てきたからさ。 でもさっきも言ったように姫がお前もきっと辛かったって、悪いコトしたって……笑顔で言ったんだよ。 だからお前も前に進めよ?」 「はい。」 「ねぇサトくん。最後まで観ていくときっといい事あるよ。 さっきは意地悪言ってゴメンね。」 そう言って黒髪の美少女が笑った。 俺はイク達に頭を下げて和夢の手を取り廊下に出た。 そこにはホテルで見かけた男が居た。 ミキを抱きかかえていた男だ…… 「あっ会場行く?」 俺達は頷いた。 「じゃっこっちから行けるよ? サトくんとナゴくんだっけ? 最後まで楽しんでいってね。」 ミキといた男は優しい笑顔で会場に案内してくれた。

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