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第22話

チュク・・チュク・・・・ 「ふ・・・ン・・ハッ・・・・」 ベッドサイドにあるオレンジの小さな光が三人に落ちて、薄暗らい室内で蛍斗の短い息遣いだけが聞こえてくる。 キスだけじゃ足りなくなった俺は、蛍斗のパーカーの裾から手を滑り込ませて、滑らかな肌を辿るように感じながら、胸の尖りを引っ掻いた。 「う・・・アッ!」 そんな俺たちの行為を覗き込むように見つめる柊の喉が、ゴクリと鳴るのが聞こえた。 「佐々先輩・・・そろそろ交代してください!」 「ちょ・・・もういいでしょ!?何でこんなっ・・・ンッ・・・フッ・・・」 ちゅ・・・チュッ・・・・・ 柊は、蛍斗に覆いかぶさる俺を無理やり押しのけて横から蛍斗の唇を奪う。 二人の間から聞こえる水音に俺の気持ちも高ぶってきて・・・ 俺達がどうしてこんな事になっているか、話は少し前に遡るーーー 蛍斗に三人で寝ようという提案をされた後、俺たちは交代で風呂に入ったんだけど、蛍斗が入っている間に、お互いが蛍斗にどこまでしたのかって話になって・・・ そこから、自分の方が蛍斗を感じさせる事ができる、なんて、くだらない口論になったんだ。 「じゃあ、実際どっちが感じさせる事ができるか勝負しましょう!」 「ふん。俺がお前みたいなガキに負けるわけねーだろ。」 「言いましたね・・見せつけてやりますから!」 キスどまりの俺に対して一歩進んでいる柊に頭にきていることもあって、 俺は、つい柊の提案に乗ってしまった。 そこからはあっという間で。 何も知らず風呂から上がってベッドに潜り込む蛍斗に有無を言わさずキスをしてーーー 「ん・・・!!!」 「あ、柊、急に強く抑え込むな!」 「え!?あ、はい・・。」 「ッ・・!もう、やめてっ・・・!」 ドンドンと柊の胸を下から叩く蛍斗。 柊が名残惜しそうに口を離すと、二人の唇の間に銀の糸がツッーっと引く。頬だけでなく、目尻まで赤く染まる蛍斗の表情が扇情的で・・・俺達はその色気のある表情に釘付けになになってしまった。 見つめられていることに気がついた蛍斗は、パッと視線を横に逸らして少し怒ったようにポツリとつぶやいた。 「・・・二人して、どっちが上手いかなんて言って・・・いい歳して、経験が無い俺の事バカにしてるんでしょ・・・。」 「え?え、伊藤先輩・・経験が無いって・・?まさかと思ってたけど、童貞ですか!?もしかしてキスも・・!?」 柊のデリカシーの無い物言いに、両手で顔を隠す蛍斗。 「急にあんな事言いだすから、ササが言ったのかと思ったーー!聞かなかったことにして・・・。」 「え!むしろ嬉しいです。じゃあ、あんな事したの俺が初めてって事ですよね!?」 聞かれて蛍斗がビクリと震える。 「?」 柊には、一度説明しておいた方がいいかも、な。 「蛍斗・・無理やりしてごめんな。からかってたわけじゃなくて、本当に俺達はおまえが好きだからお互い負けたくなかったんだ。酒が入ったからって調子に乗って、子供っぽいことして悪かった。」 俺がそう言うと、顔を覆い隠していた手がゆっくり外されて・・・ 「もういいよ・・・柊くん・・どいてくれる・・?」 「先輩・・怒っちゃいましたか・・!?」 途端、泣きそうな顔になった柊は、ベッドから抜け出そうとする蛍斗を逃すまいと、後ろからすがりつくように抱きしめた。 蛍斗に嫌われたかもと思うだけで、こんな表情になるんだな。 さっきまでの太々しいコイツとは別人みたいで。 恋敵・・なのに、やっぱり俺はこいつを憎めない。 「う、怒ってないよ・・柊君、そんな顔しなくていいから・・・。言いたくなかったんだけど・・俺キスされて勃っちゃって・・トイレ行きたいから、どいて・・・」 「「え!?」」 俺と柊の声が被る。 そんな事を聞いて、俺たちが蛍斗を手放せるわけがなくて・・・ 俺は、ベッドから抜け出そうとする蛍斗の手を引いて、再びベッドに引き戻した。

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