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第3話

……にしても、かなちゃんってこんなに可愛かったっけ? 元々顔の造りは俺と違って柔らかいなとは思っていたけど……。いつの間にか俺の方がでかくなって、かなちゃんはスレンダー女子みたいだな、なんて思ったこともあったけど。 でも、それでも根底には、男である俺の兄という覆すことのできない事実があって(血は繋がっていないけど)。 懺悔した心とは裏腹にかなちゃんの布団を ひっ剥がしてしまいたい欲望はむくむくと大きく湧き上がり、吃驚するほど可愛らしい泣き顔を見せるかなちゃんをどうやって宥めよう?と通常の倍、いや3倍の速さで頭をフル回転させながらかなちゃんの横に位置取った。 左手でしっかり毛布を握り、右手は目元にやりながら頬を上気させてしゃくり上げる。何だか悪いことをして叱られた子供みたいにかなちゃんは泣いていた。 俺は手を伸ばし、そっとかなちゃんの背中に掌を当て、ゆっくりとその薄い背中を擦った。 「……ぅっ、……っく」 「大丈夫、大丈夫。かなちゃん、俺もやったことあるし……。まぁなんだ、あれだよあれ……男のしぇーりみたいなもんだ」 「……」 あ、やべぇ、噛んだっ……!俺すっげーカッコ悪くない!? しぇーりって、なに!? 「あ、いや、しぇーりって言うか、生理……みたいな……」 嗚咽で震えていたかなちゃんの肩がピタリと止まる。 目元を押さえていた手を少しずらして横目で俺をちらりと見ている。が、俺と目が合うとすぐにぱっと逸らした。 直後、かなちゃんの肩が更に小刻みにカタカタと震えだし、心配になった俺はかなちゃんの顔を覗き込んだ。 「……っ、ははっ、あはははっ、まっ、待って、しぇーりって……!」 はぁー。自然と安堵の溜息。 目じりも下がる勢いで、安心した。 良かった。かなちゃん笑ってる。 その後暫くかなちゃんは涙を滲ませながら大笑いしていた。 「ほんとに啓太もしたことあるの……?その……夢精?」 泣いた名残で時々しゃくりあげながら俺に問う。

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