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第7話

結局その後、いつまでもリビングへ降りてこない息子達を気にかけた母さんが部屋へ現れ、股間を腫らして鼻血を流す息子とそれを心配そうにのぞき込む下半身丸出しのかなちゃんを見て、半端じゃないカオスな状況にも拘わらず、 「全くもう、いつまで遊んでるの!あら……鼻血?……ここは片付けておくから、あなた達早く支度しなさい!」 と全く普段と同じ調子で俺達に一喝入れて、一旦この場は収束を迎えた。 「行ってきまーす」 いつもと同じように俺とかなちゃんはお揃いの紺のブレザーに青いタイ、それからトラディショナルチェックのスラックスという制服姿で家を出た。並ぶと頭一つ分くらいかなちゃんは小さい。 可愛い。純粋にそう思うこの気持ちは一体何なんだ? 「シーツ、母さんに見られたかな」 確かに。不可抗力だとしてもそれは屈辱的だ。俺なら恥ずか死ぬ! かなちゃんは小さく溜息をつく。 心中お察しします……! 「ど、どんまい!俺もシーツ汚したことあるし。知らん顔して洗濯機に放り込んじゃったけどな。でも、見られてたかも……ははは」 「そんなこともある……ってことだよね」 気を取り直したようにかなちゃんは顔をくっと上げた。 こんなことで心が折れそうになるかなちゃんは繊細な心の持ち主だよなぁ。 尊い……! 「あのさ、かなちゃん……」 「なに?」 「俺、頭おかしくなったのかもしれない」 ひっ!俺何を言おうとしてんだ!? 「え?なに突然。いつもと変わりないよ?」 「え、あ、そう?」 かなちゃんが俺を見上げてくすっと笑う。その瞬間俺の身体がじゅわっと湯気を立てて熱くなった気がした。 「やっぱ……俺……」 変です。変なんです……! 俺の異変にかなちゃんが気付いたのか、俺を見て首を傾げる。 「ん?ちょっとくらいおかしくなっても、啓太は啓太だよ。大丈夫、俺が守ってあげるから。ね?」 「………!!!!!」 可愛く「ね?」と言われ、ズドーン!ビッシャーーーーン!と俺の身体に電撃が走る。 やばい……。 これって、これって……、 恋 ですよね? 俺、男の裸が見たい只の変態なだけでなく、兄のことが本気で好きなんだろうか……。 こうして俺の悩ましい恋愛遍歴が幕を開けたのである。

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